大阪府の南に位置する河内長野市(かわちながのし)は、大阪の難波まで約30分、関西国際空港へは約1時間という地にありながら、山々に囲まれた街であることから、市内に居ながらにして大自然を満喫できる。爪楊枝(つまようじ)の産地としても有名で、販売や生産などを含めた取扱量で日本一を誇っている。全国で使用される爪楊枝の国内生産量の約95%を占めたこともあったようです。鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての武将で非常に有名な楠木 正成(くすのき まさしげ)ゆかりの地でもあります。
河内長野市では以前より、「スマートシティ」 構想を推進していて、南花台のグリーンスローモビリティ「クルクル(乗り合い車両)」 で自動運転化を目指しています。そんな河内長野市のスーパーシティ構想について解説していきます。
河内長野市のスーパーシティ構想
河内長野市では、南花台を対象地区としてスーパーシティ構想を検討しています。南花台地区では2014年から関西大学やUR都市機構と連携して“咲っく南花台プロジェクト”という取り組みを行っています。河内長野市は今回のスーパーシティ構想について下記のように述べています。
河内長野市のスーパーシティ構想では、それらの取り組みをさらに発展させ、
河内長野市スーパーシティ構想について
(1)暮らし続けられるための生活利便性向上
(2)新たな担い手による地域活動創出
(3)地域内経済循環創出
(4)新たな住民を呼び込む街の魅力向上
の4大目標を一体的に実現し、全国に点在するオールドタウン並びにすべての郊外型都市の先導ケースとなるような課題解決と、アフターコロナの新たな住民ライフスタイルの実現を図ります。
なぜ河内長野市がスーパーシティを目指すのか
河内長野市がスーパーシティ構想の実現を目指す理由が大きく2つあります。1つは、大阪府内で最も少子高齢化が進んでいるまちだからです。他の市に先駆けて課題解決のモデルを構築することが非常に重要になっています。2つ目は、以前から“咲っく南花台プロジェクト”という地域課題解決に取り組んでいたためです。咲っく南花台プロジェクトでは、地域住民を主体に行政、大学、企業が連携し、とも地域に機能する活動や技術を生み出す「咲っく南花台リビングラボ」を展開してきました。それぞれの活動は地域住民の生活に機能する取組みへと成長させ、着実にまちづくりに必要不可欠な仕組みの構築を積み上げてきたという経緯があります。今回のスーパーシティ構想では、今まで河内長野市が積み上げてきた咲っく南花台プロジェクトを土台に、咲っく南花台プロジェクトの進化系としてスーパーシティ構想を描いています。
河内長野市の課題
河内長野市はまちの課題を下記のように整理しています。
- 子育て世代の急激な減少
- 商業店舗の減少
- 高齢化に伴う生活利便性の悪化
- まちの活気の衰退
これらの課題を解決するためにデジタル技術を上手に利用していきたい考えです。
河内長野市のキーコンセプト
河内長野市では今回のスーパーシティ構想のキーコンセプトを【「高い地域力」と「新たなテクノロジー」の融合により生み出す「豊かな生活」の実現】としています。そして6つの先端サービスを検討しています。
- 地域通貨/ポイント
- 地域の経済循環や活動創出、担い手発掘につなげ地域の持続性を高める
- 医療・健康
- 最新技術の活用で受診相談から医薬品受け取りまでが自宅で完結する
- 人の移動
- 自動運転と多様なモビリティで全ての人の自由な移動を実現する
- 物流・ドローン
- 誰もがドローンでドア・ツー・ドア輸送が利用可能となる
- 安全・安心
- 移動体センサ・タグなどからの多様なデータで安全を高い次元で実現する
- 教育
- アバターも活用して国際連携で子ども・若者のグローバルな学びが可能となる
また、上記6つの領域での先端サービスの基盤として3つを整えるとしています。
- データ連携基盤
- データ連携機能に加えてAIによるデータ分析機能等も備える
- 河内長野ID
- 多様なサービスIDの統合と生体認証で安全・便利なサービス運用を実現する
- 河内長野デジタルツイン
- 現実の地域をバーチャル空間に再現し、まずは災害対応から都市マネジメントを高度化する
まとえ
大都市である大阪府にありながら、河内長野市は少子高齢化が進んでいるまちであり、課題に先行して取り組まなければならないまちであります。今回のスーパーシティ構想への応募以前からまちの課題に対して咲っく南花台プロジェクトを発足させ取り組んでいてそれが基礎となり、今回のスーパーシティ構想の応募に繋がっています。
河内長野市は地域住民への取り組みの周知活動をしっかりと行っており、その内容や結果についても明確に市のウェブサイトに記載しています。これらの地道な取り組みがスーパーシティ構想実現においては非常に重要であると思います。