スーパーシティ構想の大きな取り組みの1つに「自動運転」があります。個人が移動する自動車もそうですし、街中を巡回するバスやタクシーなど自動運転技術への期待感が高まっています。自動運転を実現するには、人や物を正確に見抜くことが重要となります。人や物を正確に見抜くためにLiDARが活躍します。スーパーシティ構想で今後大活躍間違いなしのLiDARについて解説していきます。
LiDAR(ライダー)とは
LiDAR(ライダー)とは、「Light Detection and Ranging」「Laser Imaging Detection and Ranging」の頭文字を読んだものです。LiDARとは光を用いたセンサーです。
主に自動運転技術でよく聞くようになり、身近なところでは、iPhoneにもLiDARが搭載され、自分の手元でセンサーを体験することができると話題になっていました。写真は、測定アプリです。AR空間上でものさしが現れ距離を測ることができます。引越しの際などで家具のサイズやカーテンのサイズを測る時に便利です。筆者はこの測定アプリでカーテンサイズを測り、ネットで注文したのですが、実際取り付けてみたら丈も幅も少しずつ短かく、絶望しました。
LiDAR(ライダー)は何を測ることができるセンサー?
LiDARが測ることができるのは、距離・形状・位置です。
- 対象物までの距離
- 対象物の形状
- 対象物の位置
センサーと聞くと、距離を測ることができるのは想像できますが、なぜ形状や位置まで測れるのでしょうか。
LiDAR(ライダー)は、一般的なセンサーが電波を使うのに対して、レーザー(光)を使います。レーザーを使うことで、物体に対する距離別や反射率を濃淡で表すことで物体を認識できるようになります。センサーで検知した光の反射率や距離を点で表したものを点群データと呼び、点群データをAIを使って、物体検出することで、どういった物なのか、人なのかを検知することができます。
LiDAR(ライダー)の自動運転以外の使いどころ
自動運転でよく聞くLiDAR(ライダー)ですが、他の用途でも多く使われていま
- ロボット掃除機
- ゴルフ測距計
- 産業ロボット
その他、ドローンや飛行機につけ、地上の様子や周囲の様子を把握したり、大気中の成分など検知を行ったり、宇宙空間においても活躍しています。
LiDAR(ライダー)を使わずカメラだけで自動運転を実現
自動運転分野でよく使われるLiDAR(ライダー)ですが、イスラエルのMobileye(モービルアイ)という会社が「カメラだけで自動運転を実現した」とアメリカの技術見本市「CES 2020」で発表し話題となりました。
Mobileye(モービルアイ)はインテルの子会社です。Mobileye(モービルアイ)のカメラでの自動車の衝突防止は、トヨタやホンダでも採用されています。知らずしらずみなさんの乗っている車にMobileye(モービルアイ)のシステムが搭載されているかもしれませんね。
テスラはLiDAR(ライダー)に頼らない
自動運転といえばテスラです。テスラのトップであるイーロン・マスクは、LiDARに否定的で「LiDARは無用の長物だ」と語っています。LiDAR(ライダー)なしでどのように自動運転を実現しようと考えているのかというと、カメラ(イメージセンサー)のみで実現する方針です。カメラ(イメージセンサー)を1つより、2つ、2つより3つと通常よりも増やすことでLiDARや人間よりも周囲の状況把握ができるという主張です。
イーロン・マスクは、人間が目で見て、脳で考えるのをカメラで見て、AIで考えるに置き換え自動運転を実現させることを考えています。
多くの自動運転を実現を目指す企業は、LiDARのような光センサー、従来的な電波センサー、カメラの技術を組み合わせることで認識精度を高めています。
LiDAR(光センサー)とカメラ(イメージセンサー)の違い
LiDAR(ライダー)とカメラには両者ともメリット・デメリットがあります。技術発展やメーカーよっても異なるので比較が難しいですが、だいたいで比較してみました。比較軸は、コスト、悪天候時の認識度、測定距離です。
LiDAR (光センサー) | 比較 | カメラ (イメージセンサー) |
---|---|---|
高い (数万円程度) | コスト | 安い (数千円程度) |
強い | 認識度 (悪天候) | 弱い |
約10cm〜約200m | 測定距離 | 〜約300m |
比較してみてわかることは、LiDARは高価。カメラは安いというものです。自動車という高額な商材であっても部品1つで数万円するのであればコストが馬鹿になりません。ただし、技術の発展によってコストは下がっていくので現時点での判断となります。
他の特徴として、雨や雪、霧、粉塵の悪天候時の認識度です。カメラは当然、視界が悪いと認識精度が落ちます。ただし、LiDAR(ライダー)の場合、光の反射を検知するため、悪天候でも一定の認識ができます。自動運転に搭載するので、悪天候時のドライブでも活躍するのは非常に頼もしいですね。
最後に
まとめ
- LiDARは光センサー
- 自動運転技術によく用いられる
情シスフォース