ビジネスの世界でも、都市や自治体の世界でもビッグデータによって今までとは根本から変える設計や仕組みが検討されています。例えば、信号が絶えず人や自動車の動きを追跡したり、交通違反を従来であれば人が立ってきっぷを切っていたモノがAIで自動収集し、自動通報するなんてことも実現されています。
スーパーシティにおいて重要視されているビッグデータ活用について紐解いていきます。
ビッグデータとは
ビッグデータ定義
総務省による定義では、「事業に役立つ知見を導き出すためのデータ」となっているが、明確な定義があるわけではない。企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語として多用されている。
米調査会社ガートナーのアナリストであるダグ・レイニーは、ビックデータを定義するにあたって「Variety(種類)」「Volume(容量)」「Velocity(頻度)」を挙げている。
(1)Variety(種類)
従来の構造化データだけでなく、テキスト、音声、ビデオ、ログファイル、位置情報、センサー情報などの非構造化データを含む。
(2)Volume(容量)
現状では数テラバイトから数ペタバイト程度のデータ量を指す場合が多い。
(3)Velocity(データ処理頻度)
膨大なデータを高頻度で高速に処理すること。またリアルタイム情報のことを指す場合もある。現在、多くの企業がこうしたビッグデータをリアルタイムに分析し、従来は分からなかった「新しい発見」「洞察」「将来の予測」などをビジネスにつなげようとしている。そのため分析ツールも数多くリリースされているが、実際にビッグデータを活用に成功している企業はほんの一握りに過ぎず、ビックデータの有効性さえ疑問視する声も出ている。
出典:大塚商会 IT用語辞典
ビッグデータは、文字通り「大きい情報」です。容量などでよく数テラバイトから数ペタバイトと表現されますが、イメージしにくいのではないでしょうか。普段良く使う、LINEは8,400万人のユーザーが頻繁に使っていますし、Yahoo Japanは7,800万人が利用しています。LINEであれば、日々のメッセージやLINEニュースの閲覧履歴、友達、LINE Payによる支払い、スタンプの購入など様々なデータが一人当たり発生しています。写真や動画を扱う人は1日で数GBを使うことも少なくないと思います。それは8,400万人分です。
相当に大きなデータということがわかると思います。
ビッグデータはなぜ重要なのか
ビッグデータという言葉一緒によく使われるのがAIです。ビッグデータは、統計や機械学習、AIに使うため重要なのです。
例えば、あなたがAmazonで「ビッグデータに関する本」を買ったとします。購入履歴が残ります。一個人の購入履歴は単なる事実でしかありません。ただし、購入履歴データが数十人、数百人と溜まっていくとどうなるでしょうか。
購入履歴した人は、男性が多いのか、女性が多いのか、何歳くらい人が読んでいるのか。どんな人が興味をもっているのか、推測しやすくなります。推測ができると購入しやすい人に「ビッグデータに関する本」をおすすめすれば購入してもらえる可能性があがります。
このように1データでは役に立たないデータが集まることで比較したり、分析したりすることができるようになり価値を生みます。究極的にはAIのようにデータから自動で判断して物事の判断を行えるようになります。集めることで価値が生まれることがビッグデータが重要とされている理由です。
ビッグデータの活用事例
コロナの封じ込めにビッグデータを活用
中国では、コロナに対してビッグデータが活用されています。コロナに罹患した人が利用したバスや電車などの交通機関の追跡。そして、接触した可能性のある人を割り出しています。
日本のように、誰と会ったか、何をしていたのか本人にヒアリングするのではなく、GPSやBluetoothなどの情報から判断するため正確な情報です。
集まった移動情報に加え、健康状態のデータを組み合わせ、施設等への入場を制限しています。
自治体におけるビッグデータ活用事例
自治体や行政においてもビッグデータの活用は進んできています。特に民間と比べてデータ活用したいという自治体は多くいます。
観光地への集客力強化
観光地への集客の強化のために観光客の移動情報やSNS情報を分析し、どういった魅力を感じているのか、どういった経路で回っているのか、不便な点はないのかという分析をすることで観光地の魅力づくり、集客へ役立てようとしています。
ビッグデータの収集方法
ビッグデータはどのように収集しているのでしょうか。
SNSなどの一般公開されているデータを活用する
TwitterやFacebookなど、世の中に公開されているデータはたくさんあります。Twitterのデータから防災情報を収集するなどに用いられています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/bousai/dai4/siryou6.pdf
センサーなどから取得する
センサーから取得する方法も一般的です。企業の例だと、タイヤメーカーのBRIDGESTONE(ブリヂストン)はタイヤにセンサーをつけることでタイヤの摩耗度などを監視しています。
自治体の例だと、バルセロナではゴミ箱にセンサーをつけることでゴミの量を遠方から確認することができます。センサーをつけることで、どういった場所にゴミが溜まりやすいのかわかり、ゴミ箱の設置箇所の最適化につながります。また、これまで人がゴミ量を確認しに行く必要がありましたが、データでゴミ量がわかるため必要最低限の回数、回収しにいくことができるためコスト削減にもつながります。
一つ一つ組織が入力する
組織に勤める人が一つずつ入力するデータも、塵も積もれば山となり、ビッグデータになります。例えば、カルテは、お医者さんが一つひとつ入力しています。お医者がこれまで入力されていたものが蓄積され、今後診療支援などができます。
ユーザーが使用しているサービスでデータを入力する
ユーザー1人1人が入力したデータがビッグデータにもなります。例えば、Q&Aチャットボットです。ユーザーがWebサイトやLINEなどでした質問が蓄積され、回答の精度をあげています。
みなさんが質問することでより最適な回答につながります。
まとめ
ビッグデータは、都市のあり方をどんどん変えていきます。まだ、活用されていないデータはたくさんあります。自動運転やAI診療もビッグデータによって実現されます。
ビッグデータへの正しい理解を持つことで今後、どんなことが起こるか勉強していきましょう。
情シスフォース