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パナソニックの進めるスマートシティとは?

パナソニックは日本を代表する電機メーカーであり、様々な製品を生産しています。松下幸之助氏が創業した会社であり、多くの方が何らかの形でパナソニック製品を利用していると思います。最近ではテスラ自動車への投資のリターンとして4000億円以上の利益を出したことでも話題になりました。そんなパナソニックはスマートシティにも積極的に関わっており、いくつかもまちで実証実験も進めています。

なぜパナソニックがスマートシティに取り組むのか

パナソニックは、エネルギーの地産地消を実現することが非常に重要であると考えており、それがスマートシティに取り組む大きな理由であるとしています。世界では人口増加とともに地球環境の悪化が深刻になり、温暖化も加速しています。また日本国内では東日本大震災を契機として、災害時の電力不足への対応が課題となっています。これらの世界規模での問題に対して求められているのが、持続可能な世界への転換です。

パナソニックは持続可能な世界への転換には都市のスマート化とともにエネルギーの地産地消が大切であると考えているようです。国内では原発の見直しや電力自由化、発送電分離などの改革が進められています。

日本における家庭での電力消費は全電力消費量の30%であり、その中でもエアコン、冷蔵庫、照明が60%の電力消費をしています。パナソニックが多く製品を生産している分野でもあります。パナソニックはこの分野で強みがあり、電力消費量の削減からスマートシティを検討しています。

Panasonicのスマートシティ事業

パナソニックは以前から省エネ家電や設備を生産してきていました。それらは今では多くの家庭で使われています。次は家庭だけではなく、街全体に対して効率的な製品を供給し、スマートシティを推進していく計画です。省エネ家電と共にパナソニックが推進してきたのが、スマート設備・機器をネットワークでつなげ、電力・熱・情報がつながる仕組みです。これらの製品・技術を用いて、家と家をつなげ、街と街をつなげていくことで大きな範囲でエネルギーマネジメントを効率的に行うことを目指しています。

パナソニックが進めるスマートシティの事例

Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)

パナソニックは2014年4月に神奈川県藤沢市にFujisawa SSTという街を作っています。この場所は元々パナソニックの工場跡地であった場所であり、19ヘクタール(東京ドーム4個分)の面積に1,000戸の住宅、商業施設、福祉施設、各種クリニック、保育所、学習塾などが入っています。2020年3月からはデータ連携基盤の導入も行いました。パナソニックの工場跡地であったため、更地にしてから街を作り上げたグリーンフィールド型の開発事例でもあります。(グリーンフィールドについての説明はこちら

Fujisawa SSTの取組みは藤沢市とも密に連携を行い、街作り並びに運営をしています。2012年の事業発表会では、パナソニックの社長津賀一宏氏が下記のように述べています。

Fujisawa SSTは大きなチャレンジ。つくって終わりではなく、進化するまちづくりを目指す。

日本型スマートタウンの構築 カギは先端技術+コミュニティ

このことからも分かるように製品の売り切りビジネスではなく、継続的に顧客にサービスを提供していく企業に変わっていくという意思がうかがえます

パナソニックはFujisawaモデルと呼ばれる街作りの基礎を作り、実現しました。Fujisawaモデルとして5つのサービスを提供しています。

  1. エネルギー
  2. セキュリティ
  3. モビリティ
  4. ヘルスケア
  5. コミュニティ

パナソニックでは、街の完成をゴールとするのではなく、街の運営をしていくことを重視しており、上記の5つのことをサービスとして住民に提供しています。

Panasonicのスマートシティ事業

Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン(Tsunashima SST)

パナソニックの工場跡地を活用したプロジェクトであり、上記のFujisawa SSTに続く2つ目のスマートシティプロジェクトです。野村不動産をはじめとする異業種の複数事業者が共創し、横浜市等の行政の協力を得ながら進められた街です。

Suitaサスティナブル・スマートタウン(Suita SST)

医療・健康連携型のスマートタウンとして2022年初に街開きを行う予定となっています。Suita SSTではエネルギー分野でより環境に優しい街作りを目指しています。パナソニックの太陽光電力買い取りサービス契約者からの電力買取や、電力会社の発電した再生可能エネルギーを含む電気をエリアで一括受電し、再エネ由来の非化石証書を活用することで、商業施設を含む街区全体の消費電力を実質的に再生可能エネルギー100%で補う、日本初の「再エネ100タウン」にすることを目標に掲げています。

Suita SST

まとめ

パナソニックは日本を代表する家電メーカーの1つであり、蓄電池の技術でも非常に高い技術力を持っていることから世界中で叫ばれている持続可能な世界の実現において大きな役割を果たす企業であると思います。そして、上記で紹介したように2014年には既にスマートシティを自社の工場跡地にて完成させており、今もその運営を行いつつ、知見を溜め、次のスマートシティ作りを続けています。今後のパナソニックの街作りそして、ービス提供に期待したいと思います。

ABOUT ME
市川駿
ITコンサルタント&経営者。アイルランド🇮🇪の国立大学でコンピュータサイエンス&ビジネスを学び、ITコンサルタントとして様々な企業のビジネスをITを用いて加速させることを得意とする。エンジニアとしてバックエンド、フロントエンドの開発も行うことができる。
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