シンガポールのスマートシティ構想とは
シンガポールが取り組んでいるスマートシティ化のプロジェクトを「スマートネーション(Smart Nation)」と呼びます。シンガポールはスマートシティランキングにおいて、2019年、2020年と2年連続1位を獲得するスマートシティ先進国です。シンガポールは、日本と同じで高齢化が進んでいる国の一つです。今回はシンガポールがスマートシティ化において世界をリードしている秘訣に迫っていきます。
スマートネーション(Smart Nation)の概要
「Smart Nation(スマートネーション)」は2014年にリー・シェンロン首相が構想を発表し、国を挙げて取り組んでいます。
Smart Nation構想では、「より良い暮らし、より多くの機会、より強固なコミュニティ」を実現することを目的としています。
スマートネーションの重点分野
スマートネーション構想では特に重要な分野を5つあげ、注力しています。
- 都市生活(Urban Living)
- 交通(Transport)
- 健康(Health)
- 電子政府(Digital Government Services)
- 企業・ビジネス支援(Startups And Businesses)
スマートネーションの推進の体制について
スマートシティは多くの課題やトラブルに見舞われ、推進することが難しいプロジェクトの一つです。シンガポールのでSmart Nationでの推進体制を見て参考にしていきます。
Government Technology Agency(GovTech)
2016年にGovernment Technology Agency(GovTech)という機関を設立しています。自体体のテクノロジー化のGovTech(ガブテック)と名称が一緒で混乱しそうですね。Smart NationにおけるGovTechという機関の役割は、ITインフラ、プロダクト、サービスを提供する役割を担っています。都市OSを提供していると想像してもらうのが早いと思います。
Smart Nation & Digital Government Office(SNDGG)
SNDGGでは、政府内の電子化を進めるための構想を策定しています。例えば、「Digital Government Blueprint」を策定しています。
- 役割分担
- GovTech:手を動かす
- SNDGG:頭を動かす
実際の検証や開発はGovTechという国や民間、大学のデジタル人材を横串された組織が役割を担っています。その他各分野においての実証に関しては大企業を初め、スタートアップ各社も参画しています。
スマートネーションでの高齢化対策
シンガポールにおける大きな課題に高齢化という問題があります。高齢化を解決するためには、若い親をサポートしていくことです。2018年に若い親のニーズに応える「Moments of Life」というサービスをリリースしました。
サービスの概要は、モバイルデバイスから出生記録を提出し、子供が誕生したボーナスを受け取る事ができるサービスです。従来、各自治体に出向く必要があったのに対して、スマホひとつで完了するようにしています。
モバイル上で入り口を一つにすることで使いやすく、かつ自然とスマートシティの仕組みに乗る流れを作ることで国民全体にスマートシティの恩恵が波及していきます。
シンガポールの取り組みがどれだけ先進的か?
スマートシティランキングにおいて、東京は79位、大阪は80位です。このランキングだけを見ればシンガポールに大幅に遅れを取っていることがわかります。その違いはどこにあるのでしょうか。
日本のスコアとシンガポールのスコアで大きく劣っているのがテクノロジーの分野です。健康&安全、移動等のテクノロジー化のすべての分野で全都市の中で最低クラスです。
国を挙げてのスマートシティ化の推進
シンガポールの先進性でまず言えることは「国を挙げてのスマートシティ化を推進している」ということです。
推進体制のところでも少し紹介しましたが、シンガポールは国や民間、大学など横串を刺した必要な人材を揃えることで、適切なデジタル推進を可能としています。
よく日本の企業中で横串を刺したプロジェクト推進などの言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、それを国という単位で成し遂げているのです。
横串を刺すことで、いろんな組織の人や立場の人を検証段階から巻き込むことがメリットとなり、市民にとって最もいいサービスを提供できると言えるでしょう。
行政サービスを中心にデジタル化をしている
シンガポールの先進性の2つ目は「行政サービスを中心にデジタル化をしている」ということです。
行政サービスというと日本はまだまだ紙でのやりとりであったり、役所に行かないと手続きができないことが多いでしょう。また行政サービスは市民誰もが提供されるべきものです。行政サービスをデジタル化する上で欠かせないのが、「データベース」です。政府の中で集約された情報を正しく共有できる体制を構築できたことにより、開発のテストや実証をより活発に行うことを可能としたのです。
ちなみにシンガポールでは行政サービスには留まらず、生活の改善やモビリティの分野においてもサービスを提供しています。
シンガポールはまさしく世界No1のスマートシティ推進国!
いかがでしたか?今回はスマートシティ先進国であるシンガポールの取り組みについて紹介しました。
日本でもスマートシティ化に取り組んでいますが、なかなか前進していないのが現状です。
シンガポールと日本では異なる部分も多く、真似ることはできない部分もありますが先進事例を積極的に取り入れ、活用することで日本型スマートシティの確立を目指せるといいでしょう。
参考
情シスフォース