事例

災害からの復興を推進する、人吉市のスーパーシティ構想

人吉市スーパーシティ

人吉市は、熊本県と連名でスーパーシティ構想を提出しました。熊本県人吉市は人口約31,000人ほどで、熊本県の南部に位置しています。熊本県人吉市は、最近では2021年に公開された『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』のロケ地としても使われた風情のある場所です。2020年7月には、豪雨による甚大な被害を受けた地域です。テクノロジーの力を作って災害に強い都市へ挑戦している人吉市のスーパーシティ構想について解説していきます。

supercityとは
【解説】スーパーシティとは?簡単にいうとなに?スーパーシティとは、「AIやビックデータを活用し、社会のあり方を根本から変える未来都市」のことです。 内閣府の解説だと、「地域の「困った」を最新テクノロジーで世界に先駆けて解決する」とあります。日本のスーパーシティを海外に輸出していく狙っていくのではないかとおもわれます。...

熊本県人吉(ひとよし)市の基本情報

人吉市は人口約31,000人ほどで、熊本県の南部に位置しています。観光名所は日本三大急流の1つである球磨川での川下りや、川沿いの温泉などがあります。

なぜ人吉市がスーパーシティ事業に取り組むのか

人吉市がスーパーシティ事業に取り組む理由の一つは、令和2年7月豪雨災害からの復興を進めるためです。人吉市は元々、住民生活の質の向上を図るため、スーパーシティ事業に関心を持っていました。このような中で豪雨災害が発生し、多大なる被害に見舞われました。本市は災害の経験から、市の「安全」と「復興」を推進することを目的としたスーパーシティ構想を掲げているのです。

出典:人吉市にとってのスーパーシティ構想

「防」と「攻」でスーパーシティに挑む

球磨川を中心とした、球磨川への防災と球磨川を活かした観光客誘致や産業を作ろうとしてます。

RIVER×CITY×UNITY

  • 防:生命・財産を守り安心・安全を確保する
  • 攻:球磨川流域の豊かな恵みを享受する

人吉市が抱える課題

人吉市がスーパーシティ事業で解決すべき市の課題として4つの分野に分けて説明しています。

分野課題目指す将来像
防災・減災・防災のインフラ(通信・システム等)が十分に整っていない
・避難所への移動手段が少なく、不便である
・市の安全に寄与できる避難行動・避難所運営システムの構築
くらし・高齢者等が自宅から、買い物や病院へのアクセスが困難である
・行政手続がワンストップで提供されていない
・誰もがどこでも買い物や医療、介護など
を快適に行えるまちづくり
・行政サービスのデジタル化
観光・文化・人吉駅、高速人吉ICからの2次交通が整っていない
・キャッシュレスが浸透していない
・交通拠点と商業拠点等をつなぐ交通システムの開発
・デジタル技術を活用したシームレスな観光システムの構築
産業創出・市内各事業者全体でデータ分析や情報共有できるシステムがない・新たな産業創出システムの構築
出典:人吉市スーパーシティ構想に係る連携事業者及び事業提案公募型プロポーザル要求水準書

人吉市がスーパーシティ構想で提供するサービス

大容量蓄電池やVPP(バーチャルパワープラント)によるエネルギー供給、トークンエコのみを利用した支払い、災害時の行政手続きやAIによる行政窓口の省力化を基本に3つの大きなサービスを提供しようとしていますう。

1. 「灯り」による ”避難誘導の仕組みの構築 ”並びに ”観光客誘致 ”

NOROSHI(狼煙)

サーチライトという照明器具を使うことで、スマートフォンを持っていない高齢者にも避難すべき方向がわかります。狼煙という過去の技術を、現代の技術で置き換えているのが非常に面白い発想です。

AKARI(灯り)

有事以外では、人吉城跡や球磨川で照明を灯すことで幻想的な雰囲気を作り出し、SNSの拡散、観光客の増加を狙います。

2. 「かわまちづくり」による “被害状況の早期把握 ”と “観光促進 ”

SENRO(川路)

熊本県は水害の多い地域です。河川を自動ドローンによって状況を把握することが被害を減らすことにつながります。

TAMARI(溜まり)

通常時は、水辺に桟敷席(さじきせき)という観光客が一息つけるような空間をつくりだします。

3. 「リアルタイムデータ活用」による“避難者の安全確保”と“マーケティング゙の高度化”

YASURAGI(安らぎ)

行動ログを普段から取得することで、災害発生時にリアルタイムに情報を収集し、AIで自動的に災害の対応策を打ち出します。

YAWARAGI(和らぎ)

通常時は、行動ログを観光地への訪問状況や感染症での三密を可視化し、普段の生活に役立てます。

人吉市スーパーシティ構想に係る連携事業者

人吉市は地域課題解決、そして目指す将来像を実現するために、19の連携事業者を選定しました。AIやブロックチェーンなど最先端の技術でビジネスを展開する企業から、熊本に根差した企業まで幅広く選ばれています。これだけの企業が連携事業者になるために手を上げていると考えると、スーパーシティ事業への関心が民間企業の間で高まっていると言えます。

No連携事業者名主な事業内容
01株式会社エルテスITコンサルティング
02行政システム九州株式会社ソフトウェア開発
03KPMG コンサルティング株式会社コンサルティング
04株式会社システムフォレストクラウド/IoT/AIソリューション
05自然電力株式会社再生可能エネルギー発電所の開発・運営
06株式会社スマートドライブハード・ソフトウェアの開発・提供、およびデータ収集・解析
07損害保険ジャパン株式会社保険
08ためま株式会社ITサービス
09ダブルフロンティア株式会社お買い物代行プラットフォーム「ツイディ(twidy)」の企画・開発・運営
10株式会社chaintopeブロックチェーン技術開発
11株式会社長大橋梁、特殊構造物等に関わる調査・計画・設計・施工監理
12株式会社DK-Power自然エネルギーなどによる発電設備の設置
13日本電気株式会社電気機器
14株式会社肥後銀行銀行
15株式会社フィノバレーデジタル地域通貨
16フェリカポケットマーケティング株式会社ICTを活用した地域活性ソリューションの提供
17三井住友海上火災保険株式会社保険
18UT モビリティサービス株式会社自動車のリース業
19株式会社リーバー医療相談アプリLEBERの開発・運営
 出典: 人吉市スーパーシティ構想に係る連携事業者及び事業提案公募型プロポーザルの選定結果について

まとめ

本記事では人吉市のスーパーシティ事業の取り組みについて紹介しました。人吉市は決して大きい規模の地域ではないですが、多くの企業が人吉市のスーパーシティ事業に携わっていくことでしょう。イノベーションは都市だけではなく、地方でも起こっていくのかもしれません。今後も地方のスーパーシティ事業に目が離せません。スーパーシティ構想を国に提出した自治体の一覧については下記記事でまとめていますので、こちらも参照して見てください。

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遠藤凌
学生時代アプリケーションエンジニアとして、iOSアプリを開発。新卒で外資IT企業に就職。現在は基幹システム刷新PJに参画し、アプリケーションの要件定義から開発まで幅広く経験中。
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