事例

神奈川県小田原市のスーパーシティ構想とは

小田原市スーパーシティ

小田原城があることで非常に有名であり、東京からの観光客も多い神奈川県小田原市のスーパーシティ構想について解説していきます。小田原市は人口18.9万人の街で、丹沢山系、箱根山系に囲まれているとともに、相模湾に面した街であり、非常に自然豊かな街です。

小田原市のスーパーシティ構想

小田原市では2020年10月28日に「小田原市デジタル化推進本部」を設置して、積極的にデジタル化によるまちづくりを推進しています。デジタル化の推進の一環として、スーパーシティの区域指定を目指しています。小田原市のキャッチフレーズは「縁ある人すべてを守り、未来を輝かせるクリーン&スマート城下町“ODAWARA”」です。

小田原市の地域課題

小田原市では、地域課題を整理して、その課題に対してデジタル技術を使い解決しようとしています。小田原市の課題は大きく2つに分類されます。

  1. 生命のリスク
    • 自然に恵まれた地形ゆえの地震・火山・津波・水害リスクがあります。首都直下型地震や南海トラフ地震、富士山の噴火による被害の予測
    • 少子高齢化による医療福祉の負担増加や救急搬送に要する時間の増加
  2. 生活のリスク
    • 人口減少による社会インフラの弱体化。例:市内路線バス数
    • 新型コロナウイルスによる経済への悪影響。老舗のかまぼこ店の倒産など、雇用の不安定化

上記のような課題から人口減少、地域経済の縮小、市の財政悪化、住民の生活の質の低下というような負のスパイラルが予想されています。

小田原市が持つポテンシャル

小田原市では課題もあるものの、たくさんのポテンシャルも存在します。

  • 地理的・歴史的資源に恵まれた日本有数の観光地
    • 海・山に囲まれた街であること
    • 温泉が豊富にあること
    • 古くからの歴史を有する城下町・宿場町であること
    • 都心からのアクセスが非常に良いこと
  • これまでの取り組みによる効果
    • エネルギー政策先進都市
      • 経済産業省と連携した「地域マイクログリッド構築事業」
      • 環境省と連携した「炭素循環モデル構築実証事業・EV活用地域交通モデル事業」
    • 海外都市連携
      • オーストラリアのノーザンビーチーズ市との30年にわたる青少年相互交流
      • オーストラリアラグビー代表のトレーニング拠点提供
  • 最近の新しい取り組み
    • 日本一スマート化された新市立病院の整備
    • 関東学院大学・日本先端大学(仮称)のキャンパスを活用した新技術の開発
    • リモートワークが定着する中で、居住環境と都市へのアクセスを両立できる小田原への移住が増加

小田原市の目指すまちのイメージ

【概要版】 スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書
取組分野主の取組内容
医療・健康●新市立病院における診察券レス・処方箋レス・キャッシュレスによるスマート医療手続やオンライン病診相談
●ウェアラブルデバイス(身体に装着して利用する端末)とスマホアプリを活用した健康記録管理支援
●先端技術による心身状態の未来予測
●先端技術による移動の効率化と医療情報連携によるスマート救急搬送
防災●ドローン・AI等を活用した被災状況把握や災害予測
●災害時における個人属性に合わせた情報提供や避難所生活支援
●SNS投稿分析による被災状況解析
エネルギー●非常時における蓄電池等の分散電源による「仮想発電所(VPP)」を活用した自立分散型エネルギーの街づくり
●EV大量導入を見据えた充電インフラ整備
●サイネージ機能(文字等を表示する機能)や太陽光発電機能を持たせたスマート窓等によるエネルギーの効率化や情報発信
観光●支払いやホテルチェックインなどをスマート化した「手ぶら旅行」の実現
●混雑情報や個人の志向等のデータ活用による個別最適化プランの提供
●MR(複合現実)グラスを活用した歴史体験やお土産チョイス
●先端技術による移動の効率化と体験価値向上
交通●人流モビリティ(オンデマンド配車、自動運転)の導入
●物流モビリティ(ドローン、無人配送)の導入
教育●学校情報、健康情報、塾の成績など子供に関する情報を一元化した教育の最適化
●オーストラリアのノーザンビーチーズ市とのデジタル化の事例の共有等による都市間連携
スーパーシティで目指すまちのイメージ

小田原市のアーキテクト

小田原市のスーパーシティ実現のためのアーキテクトをご紹介します。アーキテクトとは?については下記をご覧ください。

スーパーシティアーキテクトとは
【スーパーシティ用語解説】アーキテクトとは?スーパーシティの中核を担う人材「アーキテクト」について解説していきます。...

越塚 登氏(東京大学大学院 情報学環 教授)

1966年 東京生まれ
1994年 東京大学大学院 理学系研究科 情報科学専攻 博士課程修了、博士(理学)
1994年 東京工業大学理学部 情報科学科 助手1994年 東京工業大学大学院 情報理工学研究科 助手
1996年 東京大学大学院 人文社会系研究科 助教授
1999年 東京大学情報基盤センター 助教授2006年 東京大学大学院 情報学環 助教授2009年 東京大学大学院 情報学環 教授
出典:東京大学大学院情報学環・学際情報学府

熊野 和久氏(ダッソー・システムズ スマートシティ推進担当部長)

昭和59年4月 株式会社CSK(現SCSK株式会社)入社
平成3年12月 日本マイクロソフト株式会社 入社
平成7年6月 同社 社長室長
平成12年5月 同社 経営企画室長
平成18年7月 同社 エグゼクティブ・マーケティング・マネージャー
平成28年12月 ダッソー・システムズ株式会社 入社
令和元年6月 同社 スマートシティ推進担当部長 現在に至る 
出典:小田原市オフィシャルサイト

別所 直哉氏(紀尾井町戦略研究所代表取締役社長)

慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、持田製薬株式会社に入社。労務、法務・知財、事業開発を担当。
1999年にヤフー株式会社入社。法務部長、法務本部長を経て2018年まで執行役員を務め、法務・知財、広報、政策企画、公共サービス、リスクマネジメントを管掌。
2019年10月より京都情報大学院大学教授(現職)
2020年4月より紀尾井町戦略研究所株式会社代表取締役就任(現職)
出典:紀尾井町戦略研究所

参考サイト:
小田原市オフィシャルサイト
スーパーシティで目指すまちのイメージ

神奈川県の他のスーパーシティ構想にチャレンジする自治体は?

鎌倉市スーパーシティ
古都鎌倉市のスーパーシティ構想は成立するか鎌倉市といえば、源頼朝が幕府を立てたことで有名です。湘南や葉山など別荘地としても人気の地域です。しかし、地域は年々高齢化が進んでいます。今回スーパーシティに挑戦する鎌倉市について解説していきます。...

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市川駿
ITコンサルタント&経営者。アイルランド🇮🇪の国立大学でコンピュータサイエンス&ビジネスを学び、ITコンサルタントとして様々な企業のビジネスをITを用いて加速させることを得意とする。エンジニアとしてバックエンド、フロントエンドの開発も行うことができる。
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