事例

広島県神石高原町(じんせきこうげんちょう)のスーパーシティ構想を解説!

広島県の神石高原町(じんせきこうげんちょう)は岡山県に隣接するまちです。人口は約8000人の中山間に位置しています。広島県の中でも特に人口減少が著しい町の1つでもあります。東証一部上場の株式会社SHIFT創業者である丹下 大(たんげ まさる)氏の出身地でもあります。丹下氏は神石高原町経済大使を務めています(出典)。中山間地域特有の課題が多くある神石高原町がどのようにデジタルを用いて課題解決を行っていくのかについて解説していきます。

神石高原町のスーパーシティ構想について

神石高原町ではスーパーシティ構想のコンセプトを下記の2つとしています。

  1. 中山間地域特有の課題をデジタルを用いて解決し、「中山間地域の革命」をもたらす
  2. 高齢化が進む全国各地に神石高原町の実証実験の成果を波及させ、持続可能な高齢化社会を実現する

神石高原町の課題

神石高原町では下記2つを課題として定義しています。

  • 町の大部分が山林地域であり利便性が高くないために「医療機関の不足」「交通の不備」「教育機関の不足」「商業施設の不足」「山間部の災害リスク」がある。そしてこのような不便な生活環境がさらなる人口流出、少子高齢化を招いている。
  • 少子高齢化に歯止めがかからず、人と人との支え合いで成り立ってきたコミュニティが成り立ちづらくなっている。

人口流出、少子高齢化から人手不足、商業施設の不足、医療や交通機関の不足、教育機関の不足と負のスパイラルに陥っているのが大きな課題です。これらの課題をデジタル技術を活用して解決していこうというのが神石高原町のスーパーシティ構想となっています。

国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

デジタルによる課題解決

通信、金融、データセンター、発電の4つのインフラをメインとして上記の課題を解決するとしています。神石高原町では11個の手段で課題解決を進める計画です。

  1. 神石高原町テレコム
    • 町が通信会社を設立して町内全域の通信網をカバーすることで安定的な運用を支えるとともに、ドローンや顔認証端末の動作をサポートしていく計画です。
  2. 神石高原地域引換券
    • 地域振興のための割引券や地域活動への報奨付与、住民間の決済等に利用する計画です。
  3. 顔認証端末の配布
    • スマートフォンを全町民に配布して、顔認証により個人情報を保護する。そして迅速な行政手続きを行うことや健康情報の管理、遠隔での見守りに利用する計画です。
  4. 遠隔連携医療
    • HM-Net(ひろしま医療情報ネットワーク)の高度化を進めるとともに、現在町内では受診できない小児科や産婦人科等の専門医療への対応を行う計画です。
  5. バーチャルスクール
    • 町内の医療現場での総合医の育成や遠隔教育などを行う計画です。
  6. 農業管理
    • 家畜の遠隔体調管理や農作物の品質向上のためのデータ所得を行う計画です。
  7. ドローン社会資本インフラ
    • 医療機関間の医薬品配送やドローンによる出前等を行う計画です。
  8. ドローン森林管理
    • ドローンによる森林監視により、注意情報を顔認証端末を通して町民へ通知したり、森林監視と運搬による山守の支援を行う計画です。
  9. EVカート場
    • 騒音が少なく、排出ガスのないEVカートの導入やeRacingと連携したリアルとバーチャルを融合したレースイベント計画されています。
  10. バイオマス自然発電
    • 間伐材を利用した再生可能エネルギー発電や医療機関、データセンターへの電源供給を行う計画です。
  11. データセンター
    • データセンターを地域で運用し、個人情報を保全すること、医療情報を蓄積し、遠隔連携医療の品質向上に寄与、森林保全やドローンの運行情報を蓄積してAIが支援することを計画しています。
国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

スーパーシティ構想の推進体制

市長を中心として、アーキテクトが3名、その他にワーキンググループを設置して上記の各手段を用いての課題解決を進めていく予定です。

国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

アーキテクト

唐川 伸幸氏(神石高原町 政策アドバイザー、統括アーキテクト)

東京理科大学客員研究員、早稲田大学招聘研究員、新潟薬科大学教授、慶應 大学上席研究員、総合病院理事長顧問、CEPR病院船、国際医療支援センター国際担当役員。Global EMI(Emergency Management Institute)副会長。日本戦略研究フォーラムJFSS理事長室付日本復興支援室室長
出典:国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

中西 敏夫氏(アーキテクト、消化器内科医師)

1972年より消化器内科医師としてキャリアをはじめる。1986年、医学博士を修得。1995年には広島大学病院助教授に就任。 専門領域の肝臓研究以外に放射線部、医療情報部の副部長として活躍。社団法人呉市医師会病院、庄原赤十字病院で病院長を歴任し、2009年から市立三次中央病院の病院長に就任。中山間地における医療を守るべく、人材の確保や設備の充実に尽力する。患者に向き合い医療現場に立ち続ける一方、後任の育成にも力を注ぎ、周辺の医療機関と連携した地域連携推進法人を立ち上げ、リーダーシップを発揮している。
出典:国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

前田 善宏氏(アーキテクト)

外資系コンサルティング会社、財務アドバイザリー会社を経てデロイト トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に入社。2012年同 社パートナー、2018年より同社執行役、2019年ベンチャーサポート代表取締役を兼務。同時にアジア太平洋地域の責任者も兼務。経営者層との検討・対話(コーチング含む)企業の根幹を担う組織変革・危機管理対応支援を実施 電力、運輸、製造業をはじめとして多業種において、戦略、財務、M&A・再編等のアドバイザリー業務に従事
出典:国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

まとめ

神石高原町は中山間部の町であり、少子高齢化や人手不足など日本の多くの地方が抱える問題を持っている自治体です。デジタル化により町民の暮らしを豊かにするように進めていく計画となっています。一方で計画の内容については構想レベルのものが多く、現実世界にデジタル技術を適用する上での実現可能性や内容の精査などは行われていない印象があります。

参考サイト:
国家戦略特区の指定にむけた神石高原町スーパーシティ構想の提案書の公表について

ABOUT ME
市川駿
ITコンサルタント&経営者。アイルランド🇮🇪の国立大学でコンピュータサイエンス&ビジネスを学び、ITコンサルタントとして様々な企業のビジネスをITを用いて加速させることを得意とする。エンジニアとしてバックエンド、フロントエンドの開発も行うことができる。
システムのことでお困りではありませんか?
関連記事

スーパーシティメディア