九州最北端に位置する北九州市。九州の玄関口として栄えた歴史を持ち、北九州工業地帯の中核を担う都市としても有名です。九州地方では福岡市に次ぐ2位であり、福岡市とともにグローバル創業・雇用創出特区として国家戦略特別区域に指定されています。県庁所在地以外の都市としては神奈川県川崎市に次ぐ人口を有しています。そんな北九州市は2021年4月にスーパーシティ候補地の申請を国に行っています。北九州市は八幡製鉄所があった場所としても非常に有名です。北九州市のスーパーシティ構想について解説していきます。
北九州市のスーパーシティ構想
北九州市のスーパーシティ構想では、「世界の環境首都づくり」を礎とし、デジタル技術を駆使することで、環境・経済・社会の好循環によるSDGsの加速化、脱炭素社会の実現を目指すとしています。今回の構想は「北九州市・東田 Super City for SDGs」と名付けられていて、脱炭素社会の実現を提案しています。
八幡製鉄所があった北九州は近代日本の産業革命の地としても知られており、今回日本製鉄工場跡地でスーパーシティ構想の実現を行おうとしています。具体的な場所は北九州市八幡東区東田1〜5丁目であり、120ヘクタールの場所を対象としています。ニュースでも有名になっていたスペースワールドのあった跡地でもあります。
スーパーシティ構想の基本方針
北九州市はスーパーシティ構想の基本方針として、
- 環境:グリーン成長都市
- 経済:規制改革・先端技術の実証・実装フィールド
- 社会:ダイバーシティの実現
を掲げています。そして市民が主役であり、「産・学・官・民」のパートナーシップを強調しています。
まずは東田地区にて様々なことを実験的に行い、最終的には北九州市全域に未来都市を作り上げていく計画です。北九州市は、提案が認められれば、78の企業・研究機関と連携し、自動運転車両や自律飛行ドローン、宅配ロボットなどの実証実験に取り組むとしています。次世代蓄電池や水素エネルギーの実用化に向けた研究も進められる予定です。
北九州市のあゆみ
北九州市は八幡製鉄所があったことにより、日本の産業革命の発祥の地でもあります。そして工業都市として栄えてきたこの地は高度経済成長期に「公害」が大きな問題となりました。しかしそれを産・学・官・民の連携で克服してきた経緯があります。このことからスーパーシティ構想においても産・学・官・民の連携により最先端未来都市を作るには最適な場所であると北橋健治市長が発言しています。
東田地区は、日本初の近代高炉が立地した産業革命の地で、過去に甚大な公害を産学官の連携で克服した経験もある。旧官営八幡製鉄所の跡地で、最先端のデジタル技術を駆使して脱炭素社会の実現に挑むことは、日本の歴史にとって意義がある
北九州市、国のスーパーシティ構想に応募 製鉄所跡地で
スーパーシティ構想の推進体制
北九州市のスーパーシティ構想を推進する体制としては、先に記載したように「産・学・官・民」での連携が重要であるとしています。
産
産の役割としては、データ連携基盤の整備、先端サービスの実証があり、それを北九州商工会議所が支援するという体制になっています。
学
学の役割としては、北九州学術研究都市で生み出された教育研究の成果を東田地区で実証・実装することとしています。東田オープンラボを今後整備する予定となっています。また、市内の大学も先端技術の研究・開発・実証を行う予定となっています。
官
官の役割としてスーパーシティ構想のアーキテクトを北九州市長の北橋健治氏が務め、主な役割として全体の企画・関係者の調整・進捗管理・広報管理等を行うとしています。
民
民の役割としては、社内実験実施の支援やオープンスペースの活用によりエリア価値を向上させる等を役割としています。今後「八幡東田エリアマネジメント団体」を設立する予定であり、構成員として八幡東田まちづくり連絡会、日鉄興和不動産(株)、イオンモール(株)等が参加する予定となっています。
福岡県では福岡市もスーパーシティ構想へ意欲を見せていましたが、2021年4月の応募は見送ったため、福岡で唯一の応募都市となった北九州市。街の中心部に広い敷地の確保もできていることから、その場所で今後様々な規制を取り外しつつ、未来都市ができることを期待したいです。
情シスフォース