事例

住民がワクワクする街づくり!吉備中央町のスーパーシティ構想

吉備スーパーシティ

本記事では岡山県吉備中央町のスーパーシティ構想について紹介していきます。スーパーシティ構想に立候補した他の都市と比べ、規模が小さい吉備中央町がどのように暮らしを変革しようと考えているのか、その実態に迫っていきます。

岡山県吉備中央町の基本情報

岡山県の中央に位置する吉備中央町は人口約1万人程の小さな町です。吉備中央町はは町内のニュータウンである、吉備高原都市でスーパーシティ構想を推進しています。

吉備中央町・吉備高原都市の地域課題

2021年3月8日に行われた第3回吉備高原都市スーパーシティ推進協議会で使用された資料の中で、主な地域課題を4点取り上げていました。吉備高原都市はこれら地域課題を解決していくため、スーパーシティプロジェクトを推進しています。

No課題領域課題内容
1医療・診療科目の不足している
・開業医の高齢化が進んでいる
2教育・児童数の減少による集団学習機会の損失している
(町内には高校が一校もない)
3移動・交通手段が乏しく、高齢者への交通サービスが満足に提供できていない
4先端技術・ICT技術を最大限に活用した地域サービスを推進する必要がある
出典:会議資料_吉備高原都市「スーパーシティ」への取り組み [PDF]

吉備中央町のスーパーシティ構想

2021年4月15日に吉備中央町はスーパーシティ型国家戦略特別区域の指定申請を行いました。提案書の内容は6つの領域にまたがる先端技術を用いたサービスを提供しようとするものです。

  1. 医療・福祉
  2. 物流
  3. 移動
  4. 教育
  5. 防災・エネルギー
  6. 地域ポイント

吉備中央町のスーパーシティ構想 ①医療・福祉

医療・福祉分野における主な先端サービスは「遠隔医療」です。交通の便が不足しているため、医療の診察へ向かう行為は住民にとって負担になります。こうした課題を解決するため、遠隔医療を実施し、患者から体温等の計測データをオンラインで送信したり、AIによる画像診断を行うなどをサービスの具体例として取り上げています。

吉備中央町のスーパーシティ構想 ②物流

物流における主な先端サービスは「ドローン」です。医療事業者と連携し、処方箋データの内容から患者の指定したドローンポートに医療品を届ける配送サービスを想定しています。

吉備中央町のスーパーシティ構想 ③移動

移動分野における主な先端サービスは「ライドシェア」です。上記にある通り吉備中央町に鉄道はありません。また、岡山市内へ向かうバスは1日5本程度しかないため、交通の便が不足しています。ライドシェアは、自家用車を持つ人が、相乗りしたい人を車に乗せ、目的地まで送り届けるサービスです。自家用車を持たない人や、運転が難しくなった高齢者などの吉備中央町民にとって、ライドシェアはニーズがあるサービスと言えます。

吉備中央町のスーパーシティ構想 ④教育

教育分野における主な先端サービスは「オンライン学習」です。通学するのが困難であったり、地域教育格差などの課題を解決すべく、オンライン学習コンテンツを整備し、自宅での学習を可能にします。また、教材はAIを使って個人にパーソナライズされたものを提供することを想定しています。

出典:スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書 [PDF]

吉備中央町のスーパーシティ構想 ⑤防災・エネルギー

防災・エネルギー分野における主な先端サービスは「太陽光発電・蓄電池による送電」です。災害時、発電所から送電不可能になった場合に備えて、太陽光及蓄電池による電力提供を実現します。

出典:スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書 [PDF] 

吉備中央町のスーパーシティ構想 ⑥地域ポイント

地域ポイントは、地域活動の参加に対してポイントを付与するサービスです。ポイント付与のインセンティブによる住民への地域活動の参加を促します。健康増進イベントや住民イベントの活動を通して、吉備中央町民の健康増進・コミュニティ形成・経済の活性化などを助長することが狙いです。

出典:スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書 [PDF] 

アーキテクト

 主に3人のアーキテクトが選出されています。アーキテクトとは?については下記にまとめていますので、是非参考にしてください。

スーパーシティアーキテクトとは
【スーパーシティ用語解説】アーキテクトとは?スーパーシティの中核を担う人材「アーキテクト」について解説していきます。...

那須 保友氏(リードアーキテクト:岡山大学 理事)

略歴

1991年 岡山大学医学部付属病院 講師

2013年 岡山大学病院 副病院長(研究・国際担当)

2016年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科長

吉備高原都市スーパーシティ構想の全体を総括リードするアーキテクト

内山 敬太氏(アーキテクト:富士通株式会社 フィールド・イノベーション本部)

略歴

1991年富士通入社、ミドルウェアの事業企画・商品企画に従事

2007年より企業・自治体の事業改革コンサルに従事

データ連携基盤を活用したサービスを企画リードするアークテクト

橋本 幸夫氏(アーキテクト:株式会社システムズナカシマ 専務取締役)

略歴

1977年ナカシマプロペラ入社

1985年システムズナカシマに出向

2010年専務取締役就任、文教向けICTシステム導入コンサルに従事

地域課題に精通し地域全体をリードするアーキテクト

吉備中央町のスーパーシティ構想 連携事業者

吉備中央町はスーパーシティ構想を実現すべく、各領域に対して、事業者を選定しています。各領域分野に精通している事業者やIT企業が名を連ねています。

No領域主な事業者
1医療・福祉富士通株式会社
2物流ANAホールディングス株式会社
3移動富士通株式会社
4教育株式会社ベネッセコーポレーション
5防災・エネルギー株式会社NTTファシリティーズ
6地域ポイント西日本電信電話株式会社
出典:スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する提案書 [PDF]

まとめ

人口約1万人の小さな町、吉備中央町のスーパーシティ構想について解説していきました。町の規模という観点では、他のスーパーシティ候補都市に劣るでしょう。しかし、吉備中央町のスーパーシティ構想には大きな強みがあると筆者は考えます。それは「住民の75%以上がスーパーシティ構想に賛成している」ことです。スーパーシティはプライバシーの問題などで住民の理解を得られにくい側面があります。しかし、吉備中央町民はスーパーシティ構想実現に肯定的であると言えます。「住民への理解」を獲得していることはスーパーシティ実現に不可欠な要素です。

スーパーシティメディアではスーパーシティにおけるプライバシー問題について取り扱っている記事がありますので、ご興味がある方は是非ご覧ください。

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小さな町がどのようにスーパーシティプロジェクトを推進していくのか、吉備中央町に今後も注目です。

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遠藤凌
学生時代アプリケーションエンジニアとして、iOSアプリを開発。新卒で外資IT企業に就職。現在は基幹システム刷新PJに参画し、アプリケーションの要件定義から開発まで幅広く経験中。
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