京都府は、京都府・精華町・ 木津川市・ 京田辺市共同でスーパーシティ構想に挑戦しています。京都でのスーパーシティ構想は、「けいはんなサスティナブルスーパーシティ」という名称で推進されます。けいはんなとは、京阪奈の読み方で、京都、大阪、奈良を合わせた呼び名です。けいはんな学園都市を中心に、「精華・西木津地区、他」では、ブラウンフィールド、「南田辺西地区」ではグリーンフィールドでスーパーシティをおこまいます。
京都のスーパーシティ構想とは
京都のスーパーシティ構想の対象区域
けいはんな学園都市の中でも京都エリアに絞って、スーパーシティ構想を進めるようです。スーパーシティへの応募が都市や自治体ごとなので、大阪や奈良を跨ぐと面倒になるためだと考えられます。特に大阪府は、大阪市としてスーパーシティ構想に挑戦しているので、区域に含めなかったと思われます。
京都府のスーパーシティのコンセプト
- 人生100年時代にふさわしく健康で充実したスマートライフの確立
- AI時代にふさわしい先端的な学習に関する研究開発の推進及び、その知見を活用することによる次代を担う子供たちの個性や能力に応じた学びの場の提供
- これまでに培った研究機関の世界的ネットワークを活用し、多彩な人材の持つ知見が活かされた世界最先端の研究が迅速に進む研究環境の確立
スマートシティを発展させ、スーパーシティへ
京都府では、関西文化学出研究都市(けいはんな学研都市)において、スマートシティを進めてきています。
けいはんな学研都市とは、東の「つくば研究学園都市」ともに国家的なプロジェクトに位置づけられてサイエンスシティです。京都、大阪、奈良に跨り、総面積15,000haに12の文化学術研究地区を配置し、研究施設、大学施設、文化施設を配置、研究分野の発展に貢献しています。
京都のスーパーシティ構想が選定されるべき理由
京都では、なぜスーパーシティ構想に選ばれるべきか理由を記載しております。スーパーシティは、全国5地域ほどしか選ばれないため、選定されるための強い理由が必要です。
理由一覧
主な理由は、これまで培ってきた企業とのネットワーク、海外との連携、研究成果などの功績です。
- スマートシティに関する豊富な取組の蓄積
- スマートシティ先進国・スペイン(バルセロナ)との協定締結(2016年)
- 京都スマートシティエキスポ(2014年~)→BtoG、BtoB交流の蓄積
- スマートシティ先行モデルプロジェクト(国交省)による「スマートけいはんなプロジェクト」の実践(2019年)
- データ利活用型スマートシティ推進事業(総務省)によるデータ連携基盤の一部先行開発(2018年)
- 京都ビッグデータ活用プラットフォーム(105団体)による官民連携型スマート社会推進体制の構築(2018年)
- ホワイトハッカーによる「ハッキングコンテスト」を実施。サイバーセキュリティの機運醸成(2020年)
- 基礎研究から応用研究まで国際ネットワークの中で迅速な課題解決が可能な環境
- 世界の文化・学術・研究の発展に貢献する最先端研究機関の立地
- →ゼロカーボンシティに貢献する地球環境産業技術研究機構(RITE)、情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)等
- けいはんなリサーチコンプレックス事業 (文科省/JST事業 2016年~2020年)により技術開発(i-Brain(脳・人間科学技術)とICTによりヒトの心理・行動・脳・生体情報データ解析)が進み、世界的ネットワークが拡充(国内外の433の拠点・機関)
- コロナ対応等にふさわしい、国家戦略特区での豊富な医療分野での規制緩和の実績
- iPS細胞から製造する試験用細胞等への血液使用の解禁
- →京都発のiPS細胞関連ビジネスの拠点として製薬企業等による新薬開発への活用や関連産業の発展に寄与
- (安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律の一部改正:2020年9月1日施行)京都からの提案で実現
- 世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市(京阪神)
- →スタートアップの新しい力で新しいまちづくり。けいはんな学研都市ではATRを中心に100億円のベンチャーファンドの創設に着手。
- 地震や水害の災害危険性が低い安全なまち
- ※高い安全性から「新たな都市創造プラン(約80の関連団体が構想に参加)」では首都バックアップ機能を目指すとされている。
筆者からすると、これまでの功績は選定理由の一つにはなりますが強い理由にならないと考えています。実現可能性などは高いですが、スーパーシティは国全体に波及させたい思いから学園都市のような特別な空間ではなく、汎用的な都市での成果が欲しいと思われます。また、学園都市でこれまで形成してきたので学園都市のコンセプトをそのまま継続して発展させて欲しいという思いもあります。
京都のスーパーシティでのサービスイメージ
京都がスーパーシティ構想で実現するサービスは流石学園都市と感じるほど魅力的です。
遠隔行政サービス:リモートキューブ
遠隔からリモートで行政サービスを提供すること自体は、どこの自治体も検討していますが、京都での構想として良い点はリモートキューブの導入です。多くの遠隔行政サービスが、スマホやPC環境がある前提ですが、環境がない方でも対応できるようにしている点は非常に魅力的に見えます。
リモートキューブの設置箇所は、AIなどで最適化して配置することで地域住民が使いやすい場を作ってくれると良いです。
バーチャル研究所
バーチャル研究所は、けいはんな学園都市を有する京都ならではの発想です。VRを使い、バーチャル空間に研究所を創るというものです。例えば、自動車の交通事故防止のためにバーチャルでの道路を作り、そこで実験するようなことを医療など様々な領域に展開していくのだと思います。
バーチャル研究所は、交通事故や医療事故など再現性が難しく危険が高いものには特に有効ですし、またバーチャル空間なので、実際に研究所をつくるよりも安価に研究ができるという点も魅力です。
バーチャル研究所の成果を日本国内から海外に展開していくことも期待できます。
参考
情シスフォース